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    金子社会保険労務士事務所 配信ニュース
          
        = 人事労務ニュース編 = 

          2019年5月7日発行  
     
         http://kaneko-sharoushi.com/
 
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このニュースでは、人事・労務に関する様々なQ&Aや
法改正情報などの新着ニュースをお届けしております。

<CONTENTS>
◆ 人事・労務Q&A                  
  1.『特別休暇を年休扱い? ~記念日等に使える制度』 
  2.『Uターン時は通災か              
            ~「忘れ物」と「当日の病欠」
                                                      
◆ 法令新着情報                    
  『厚労省、各企業が策定すべき          
「健康情報等の取扱規程」ひな型の手引き公表」                        

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◆ 人事・労務Q&A
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1.『特別休暇を年休扱い? ~記念日等に使える制度』

Q.法定の年次有給休暇以外に結婚記念日や子供の誕生日に
  使える休暇やボランティア休暇を設け、一定の日数まで
  有給にしています。結構好評で、年休に優先して使われる
  傾向がありますが、今年度から年休を最低1年に5日取得
  させる義務があるため少し悩ましいところです。これらの
  特別な休暇を年休とみなせないでしょうか。
        
A.時季や事由の条件課せない

  法定の年次有給休暇の他に特別の休暇制度を設けることで、
  労働者の健康保持や勤労意欲の向上が期待できます。
  こうした休暇が年休に「上乗せする」内容の休暇であれば、
  その取得をもって使用者が時季指定すべき年休から控除し
  得ると解されます。

  つまり特別の休暇について年休を取得したとみなす場合は、
  年休を取得した時に支払われる場合と同額かそれ以上の
  賃金が支払われていることが必要で、かつ取得の時季や
  事由を問わないものとしているため、記念日やボランティア
  など一定の条件を課す休暇をそのまま年休と扱うことは
  できないことになります。

  たとえば特別の休暇を取得する際に、年休と合わせて連日
  で休暇を取ることを奨励し、年休取得を促進する等の工夫
  ができるかもしれません。


2.『Uターン時は通災か ~「忘れ物」と「当日の病欠」』

Q.自宅を一度出たものの、忘れ物を取りに帰る途中のケガと、
  具合が悪くなり急遽休むと連絡を入れてから帰る途中の
  ケガは、いずれも通勤災害と認められるでしょうか。
        
A.就業するかポイントに

  通勤災害の対象となる通勤とは、労働者が、就業に関し、
  住居と就業場所などを往復するための移動を、合理的な
  経路および方法により行うこととしています。「就業に
  関し」の意義として、「労働者が業務に従事することに
  なっていたか否かが問題」になります。

  出勤の途中引き返したことは、会社の就業に必要な書類を
  忘れたことに気付き、自宅に取りに帰るための行為である
  と推断できるとして、「就業関連性」を認めたものがあり
  ます。経路を逸れた形にはなるものの、来た道をそのまま
  戻るような場合、経路の逸脱はないでしょう。一方、病欠
  で休む等によりその日出勤しないことが確定してからの
  帰り道ですが、こちらは「就業に関し」の条件を満たさ
  ないと考えられています。


                    提供:労働新聞社


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◆ 法令新着情報 
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【厚労省、各企業が策定すべき
     「健康情報等の取扱規程」ひな型の手引きを公表』】

働き方改革関連法による労働安全衛生法の改正に基づいて、
「労働者の心身の状態に関する情報の適正な取扱いのために
事業者が講ずべき措置に関する指針」が策定されました
(2019年4月1日適用)。
この指針は、労働者の心身の状態の情報の取扱いに関する原則
を明らかにするとともに、事業者が策定すべき取扱規程の内容、
策定の方法、運用などについて、とりまとめたものです。

この度、この指針の中で策定が求められている取扱規程(「事業
場における心身の状態の情報指針に基づき事業場ごとに策定され
た取扱規程」)について、その策定の手引きが公表されました。
この手引きでは、取扱規程のひな形(健康情報等の取扱規程)も
紹介されています。

■策定すべき「健康情報取扱規程」の内容とは?

厚生労働省の指針によると「健康情報取扱規程」内で定めるべき
内容は主に以下9点です。これらの内容について、自社の状況に
合わせて方針を決めることとなります。

(1)心身の状態の情報を取り扱う目的及び取扱方法
  心身の状態を取り扱う目的・方法を定めます。目的は従業員
  の健康保持などが適切です。人事評価や営利目的で使用され
  ないよう、目的を特定しておくことが重要です。取得方法は
  「健康診断」や「ストレスチェック」「面接指導」などが
  該当します。

(2)心身の状態の情報を取り扱う者
    及びその権限並びに取り扱う心身の状態の情報の範囲
  「人事」「上長」など、健康情報を取り扱うことのできる人
  (ポジション)を定めます。それらの人たちそれぞれに対
  して「どの範囲まで情報を開示し」「どんな権限を与える
  のか」を定めます。

(3)心身の状態の情報を取り扱う目的等の通知方法
    及び本人同意の取得方法
  「口頭」や「書面」など通知の方法を定めます。また、本人
  同意の取得についても「必ず書面でサインをもらう」などの
  方法を決めます。

(4)心身の状態の情報の適正管理の方法
  取得した情報を、漏洩のリスクがないように、どのように
  管理するのかを定めます。「健康情報管理責任者の選任」や
  「健康情報を取り扱う人への教育・研修の実施」「情報は
  パスワードのかかったサーバーで管理する」など、適正に
  管理ができるよう具体的に決めておきましょう。

(5)心身の状態の情報の開示、訂正等(追加及び削除を含む)及び
   使用停止等(消去及び第三者への提供の停止を含む)の方法
  情報の開示請求があった場合の対応方法、および従業員から
  事実と異なるとの指摘が入った場合の訂正・追加・削除の
  対応方法、さらに使用停止の請求があった場合の対応方法に
  ついて定めます。

(6)心身の状態の情報の第三者提供の方法
  第三者へ提供しない場合はその旨を明記します。もし、第三者
  に情報を提供する場合は、「どのような場合に」「どのような
  方法」で提供するのかを定めます。

(7)事業承継、組織変更に伴う
     心身の状態の情報の引継ぎに関する事項
  たとえば「合併などで別の法人に事業が引き継がれる場合」や
  「組織の大幅な変更がある場合」など、情報の管理者が変わる
  場合は、どのように情報を引き継ぐのかを決めます。

(8)心身の状態の情報の取扱いに関する苦情の処理
  「上司が健康診断の内容を同僚に漏らした」など、健康情報
  の取扱いについての苦情や相談を受けつける窓口、その後の
  処理方法を決めます。

(9)取扱規程の労働者への周知の方法
  この「健康情報取扱規定」で定めた内容を、どのようにすべて
  の従業員に周知するのかを決めます。

衛生委員会、あるいは労使協議の場で上記について方針が決ま
れば、文書にまとめ「健康情報取扱規程」を作成します。策定
した「健康情報取扱規程」は、必ず従業員全体への周知が必要
です。これは就業規則や労使協定などと同様の扱いです。必ず、
全員がアクセスできる場所に規程を置き、従業員が常に閲覧
できる状態にしておかねばなりません。
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    金子社会保険労務士事務所 代表 金子聡
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