本日は採用時に必ず明示しなければならない労働条件についてふれます。

採用する際はきちんと労働条件について書面で交付していますでしょうか?
採用後、言った言わないというトラブルになったり、書面にしておかなければ法律違反にもなる可能性もありますので、きちんとした対応が必要です。

採用の際特に気にするのは、時給(給与)、仕事内容、労働契約の期間、勤務時間かと思います。
当然、面接や入社の際に書面もしくは口頭で労働条件はしっかり伝えているかと思います。

ここで注意したい点は、「書面もしくは口頭」という点についてです。

労働契約法第6条では
「労働契約は、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払 うことについて、労働者及び使用者が合意することによって成立する。」

とあります。
ここでは「労働契約は・・・合意することにより成立する」とありますので、契約上の効力は書面か口頭かは問いません。

しかし、労働基準法15条では
使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない

と定めており、その方法は書面による明示を規定しております。

(書面により明示しなくてはならない事項、口頭でも良い事項があります)

明示すべき内容については労働基準法施行規則に定められており、
この項目を書面で明示しないと労働基準法違反として30万円以下の罰金に処せられることになります。
(労働基準法第120条第1号)

「アルバイトだから口頭だけで伝えておけば良い」という「口頭だけ」がトラブル発生原因になると同時に、
上記労働基準法違反にもなりますので、採用の際には明示すべき事項は書面で作成しておく必要があります。


(労働基準法施行で定められている労働条件の明示事項)

 1 労働契約の期間に関する事項

12   期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関する事項

13   就業の場所及び従事すべき業務に関する事項

2  始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて就業させる場合における就業時転換に関する事項

3 賃金(退職手当及び第五号に規定する賃金を除く。以下この号において同じ。)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期 並びに昇給に関する事項

4 退職に関する事項(解雇の事由を含む。) 

42   退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項

5 臨時に支払われる賃金(退職手当を除く。)、賞与及び第八条各号に掲げる賃金並びに最低賃金額に関する事項

6  労働者に負担させるべき食費、作業用品その他に関する事項

7  安全及び衛生に関する事項

8  職業訓練に関する事項

9  災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項

10  表彰及び制裁に関する事項

11 休職に関する事項

書面で明示すべき事項は1から4までに掲げる事項(昇給に関する事項を除く。)
4の2以降については会社として定めがあるのであれば明示しなければならない事項となりますが、その方法は書面・口頭は問いません。
就業規則に定めがあればそれを交付しても差し支えありません。 

また、パートタイム労働法では短時間労働者(パート等)には 
「昇給の有無」「退職手当の有無」「賞与の有無」も書面で明示する義務があります。

採用が難しくなっていますので、会社としてきちんとした労働環境及び労働条件の整備をして採用面接に生かせれば定着率も高くなっていくはずです。
今一度自社の労働条件明示についてチェックしてみてください。

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